第一種衛生管理者の出題範囲は非常に広範囲ですが、単元同士のつながりを意識して効率的に学習を進めましょう
労働生理の概要
- 第一問 労働衛生(有害業務を含む)
- 第二問 関係法令(有害業務を含む)
- 第三問 労働衛生(有害業務以外)
- 第四問 関係法令(有害業務以外)
- 第五問 労働生理←イマココ
- 血液・循環器系
- 呼吸器系
- 消化器系(肝臓)
- 泌尿器系
- 内分泌系
- 感覚器系
- 神経系
- 筋肉
- 代謝系
- ストレス・疲労・睡眠
この単元では呼吸について学びます
体内に酸素と二酸化炭素を循環させるために肺⇔血管⇔細胞と、ガス交換を行っています
呼吸を行う流れやしくみ、外呼吸・内呼吸の違いなどに注目してさらっと学習しておきましょう
呼吸器系
呼吸器官
呼吸とは、鼻や口から気管・気管支を通って肺へ外気を取り込むことです
口腔・鼻腔⇔気管⇔気管支⇔肺・肺胞⇔毛細血管
このような呼吸をするための器官のことを呼吸器官と呼びます
口鼻から肺までは空気が通っており、肺胞で血管に酸素を取り込んで二酸化炭素を排出し、ガス交換を行います
肺胞と毛細血管との間で行われるガス交換のことを外呼吸と呼びます
一方で、全身の組織を構成する細胞と血液との間でもガス交換が行われます
体内の、肺以外で行われるガス交換のことを内呼吸(細胞呼吸)と呼びます
ガス交換
肺⇔血管⇔細胞で行われる、酸素や二酸化炭素のやり取りをガス交換といいます
細胞が活動するためには常に酸素が必要です
また、活動するうえで二酸化炭素が発生し、それを排出しなければなりません
全身の細胞に酸素を届けるために、肺胞で血液へ酸素を取り込んで、逆にそれぞれの細胞から二酸化炭素を回収して肺胞を通じて排出しています
外呼吸と内呼吸
体外から酸素を取り入れる、体外へ二酸化炭素を排出する、というガス交換を外呼吸(肺呼吸)と呼び
全身の細胞と組織液を通して行われるガス交換を内呼吸(細胞呼吸)と呼びます
- 外呼吸(肺呼吸)肺で血管に酸素を取り込み、肺へ二酸化炭素を排出
- 内呼吸(細胞呼吸)血管から細胞に酸素を供給する、細胞から二酸化炭素を回収
呼吸運動
呼吸を行うための仕組みである呼吸運動について学びます
胸の前方にある骨(胸骨)と後方にある骨(胸椎)、その間をつなぐ骨(肋骨)で囲まれている籠状の骨格をひとまとめにして胸郭と呼びます
胸郭内の空間を胸腔といい、心臓や肺などが収まっています
実は肺には筋肉がありません
呼吸をするために、肋骨につながった肋間筋と横隔膜が協調して運動することで肺を膨らませたり縮めたりして空気を吸ったり吐いたりしているのです
息を吐く時は、肋骨が下がり、横隔膜が上がることで胸郭全体がしぼむことで肺から空気を排出します
息を吸う時は逆に肋骨が上がり、横隔膜が下がって胸郭を膨らませて空気を取り込みます
呼気と吸気
呼吸は肋間筋と横隔膜との協調運動によって行われます
胸郭内の容積が増加(ふくらむ)すると、肺の内圧が低くなり、鼻や口などから気管を通って空気が流れ込みます
この流れによって取り込んだ(吸った)空気を吸気と呼びます
対して逆の流れで吐き出された(吐いた)空気を呼気と呼びます
呼気は筋肉を用いずに、ふくらんだ肺がもとの大きさに戻ろうとする力で吐き出されます
呼吸と血液
外呼吸(肺呼吸)で血液に取り込まれた酸素は、赤血球のヘモグロビンと結合して全身へ運ばれます
細胞はこの酸素を利用して栄養分(ブドウ糖)を分解してエネルギーにしています
エネルギーを取り出すときに二酸化炭素が発生し、二酸化炭素もまた血液によって肺に運ばれて体外へ排出されます
呼吸中枢
呼吸に使われる筋肉は、延髄の呼吸中枢によって支配されています
身体が活動していると血液中の二酸化炭素濃度が上がり、pHが下がります(酸性に傾く)
これに呼吸中枢が刺激され、呼吸数が増加し、肺でのガス交換量が多くなります
二酸化炭素が体外に排出されると、血液中の濃度が下がり、pHが上がります
呼吸中枢が活動する(興奮性を維持する)ためには、血液中に一定量以上の二酸化炭素が血液中に含まれていなければなりません
呼吸数と1回換気量
一般に呼吸数は1分間の回数で測ります
成人の呼吸数は通常16~20回とされています
運動や食事、入浴、発熱によって増加します
安静時に1回の呼吸によって出入りする空気(呼気と吸気)の量を1回換気量と呼び、成人男性で約500mlです
呼吸器系まとめ
外呼吸(肺呼吸)は、鼻や口から気管・気管支を通って肺に空気を取り込んだり吐き出したりすることで、肺胞と毛細血管との間でガス交換を行うこと
血管に酸素を取り込んで、空気中へ二酸化炭素を排出します
内呼吸(細胞呼吸)は、全身に運ばれた血液と、細胞との間で行われるガス交換のこと
細胞へ酸素を供給し、血液が二酸化炭素を回収します
呼吸運動は肋間筋と横隔膜の協調運動によって行われ、肺そのものには筋肉がありません
胸郭をふくらませることで内圧を下げて空気を吸い、元に戻ることで空気を吐きます
呼吸をコントロールしているのは、延髄の呼吸中枢です
血中の二酸化炭素濃度に反応してガス交換量を上げたり下げたりします
成人の呼吸数は通常1分間に16~20回だが、運動や食事、入浴、発熱で増加します
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