第一種衛生管理者の出題範囲は非常に広範囲ですが、単元同士のつながりを意識して効率的に学習を進めましょう
労働生理の概要
- 第一問 労働衛生(有害業務を含む)
- 第二問 関係法令(有害業務を含む)
- 第三問 労働衛生(有害業務以外)
- 第四問 関係法令(有害業務以外)
- 第五問 労働生理←イマココ
- 血液・循環器系
- 呼吸器系
- 消化器系(肝臓)
- 消化器系(肝臓)
- 泌尿器系
- 内分泌系
- 感覚器系
- 神経系
- 筋肉
- 代謝系
- ストレス・疲労・睡眠
この単元では血液の成分や働き、心臓を中心とした循環器系の構造や役割について学びます
試験で間違えやすい内容も含まれていますので、注意して読んでみてください
高校理科で生物を選択していた方は聞いたことがあるような内容も含まれていますが、労働衛生で学ぶ病気やケガとも繋がってくる内容です
知っているようで知らない血液と循環器系の重要ポイントを押さえておきましょう
独学だとなかなか勉強が進められない、時間が作りにくいという人はスクールもあります
血液
血液の成分
血液の構成は、2つに大別されます
- 有形成分(=血球) 約45%
- 赤血球
- 白血球
- 血小板
- 液体成分(=血漿) 約55%
- 水分
- 蛋白(たんぱく)質
- 他
血液はどのような成分で構成されているのか知っておきましょう
赤血球
体に酸素を供給するのが仕事です
ヘモグロビンが肺で酸素を受け取って、体内の各組織に運搬します
骨髄(骨の中)で作られ、約120日が寿命です
ヘクトマリットという比率があり、血液中の赤血球の相対的な容積のことを指します
ヘクトマリットは男性で約45%、女性で約40%で、男性の方が多い傾向
試験メモ
<試験ではヘクトマリットと、血球と血漿との比率を混ぜて選択肢にした問題が出ることがあります>
<男性の方がヘクトマリットが”低い”とひっかける問題も出ることがあります>
白血球
体内に侵入した細菌などの異物から体を守るのが仕事です
好中球、リンパ球などの種類があり、それぞれの特徴を覚えておきましょう
好中球は、アメーバのような動きで細菌や異物を食べてしまいます
リンパ球は免疫反応に関与します
Tリンパ球→細菌や異物を直接攻撃します
Bリンパ球→抗体を生産して細菌や異物を攻撃します
種類によって寿命が様々ですが、一般に”赤血球よりも寿命が短い”ことを覚えておきましょう
試験メモ
<好中球とリンパ球と特徴を入れ替えた問題が出ます>
<赤血球と白血球との寿命を比べて、どちらが長いか答える問題が出ます>
血小板
止血するために役割を果たします
血漿とともに働いて、血液を凝固させます
血管が破損したときに、損傷個所に粘着して止血をします
血漿と合わせて止血のしくみを覚えておきましょう
→凝固と凝集
血漿
血球などの固形成分をを運ぶ役割をしています
約90%は水分、約7%が蛋白質です
蛋白質のうち、3つの成分を覚えておきましょう
アルブミン 血液の浸透圧を調整する
グロブリン 免疫反応に作用する(免疫物質の抗体を含む)
フィブリノーゲン 血液の凝固に作用する
血液の凝固
血漿中のフィブリノーゲンがフィブリンに変化することを凝固と言います
出血してしまった時に起こる反応を知っておきましょう
- 血液が空気に触れる
- 血小板が反応して血液を固めようとする酵素を出す
- 酵素に反応して血漿中のフィブリノーゲンがフィブリンになる
- フィブリンが周囲の血球にからまって血液が凝固する
試験メモ
<フィブリノーゲンがフィブリンになるという部分を答える問題がよく出題されます
私はフィブリノーゲンの”ゲン”を原料のゲンと覚えていました>
<空気に反応するのは血小板という部分をフィブリノーゲンなどに入れ替える問題も出ます>
血液の凝集反応
凝集というのは、赤血球同士が集合することをいいます
赤血球中の凝集原と、血清に含まれる凝集素とが反応したものです
凝集素とは血漿からフィブリノーゲンを除いたものです
血液のまとめ
血液は血球と血漿とに分けられる
血球はさらに赤血球・白血球・血小板に分けられる
血漿は水分・蛋白質・その他の成分に分けられる
それぞれの役割や、一般的な体内での容積比率について覚えておきましょう
循環器系
心臓の構造
4つの部屋に分かれています
大静脈→右心房 | 左心房←肺静脈 |
肺動脈←右心室 | 左心室→大動脈 |
図にするときは左右反転してこのように書かれることが多いです
肺と体とで微妙に韻を踏んでおり、覚えるにはややこしいですが、きっちり区別しましょう
肺→心臓→体→心臓→肺
”肺との血液循環は独立している”
心房(上)と心室(下) 心房は静脈(受け取る)、心室は動脈(送り出す)に繋がっている
上から入って下から出る
動脈と静脈 動脈は心臓から出ていく血管、静脈は心臓に向かう血管
心筋
心臓の筋肉は特殊な筋肉でできており、心筋と呼ばれる
通常は2分類されるが、心筋はどちらでもない
横紋筋(骨格筋) 随意筋(自由に動かせる)
平滑筋(内臓筋) 不随意筋(自由に動かせない)
心筋は、内臓筋に分類されながら横紋筋で、自由に動かせないので不随意筋です
試験メモ
<心臓を動かす命令、門脈と絡めた問題を出されがちですが、門脈は消化器から肝臓に向かう血管で、心臓とは直接関係しません>
冠状動脈
心臓自体も酸素や栄養素を必要とするので、冠状動脈から血液が循環しています
心臓から大動脈が出てすぐの大動脈起始部から分岐しており、心臓に繋がっています
肺循環と体循環
肺循環 右心室から出て肺を経て左心房に戻る
肺で二酸化炭素を排出して、酸素を取り込む
体循環 左心室から出て肺を経て左心房に戻る
肺以外の各組織に酸素を送り届けて、二酸化炭素を回収する
動脈血と静脈血
動脈血 酸素を多く含む
静脈血 二酸化炭素を多く含む
<!– 表形式での説明 –>
肺循環では、動脈に静脈血が流れていて、静脈に動脈血が流れることになります
循環器系のまとめ
心臓は4つの部屋に分かれている
大静脈→右心房 | 左心房←肺静脈 |
肺動脈←右心室 | 左心室→大動脈 |
心房へ入って、心室から出ていく
心臓から出ていく血管は動脈、心臓に向かう血管は静脈
心筋は特殊な筋肉で、横紋筋だが内臓筋で不随意筋
肺(LUNGS)循環 右心室→肺動脈→肺→肺静脈→左心房 out二酸化炭素 in酸素
体(BODY)循環 左心室→大動脈→全身→大静脈→右心房 out酸素 in二酸化炭素
動脈血 酸素を多く含む血液(大動脈、肺静脈は動脈血)
静脈血 二酸化炭素を多く含む血液(大静脈、肺動脈は静脈血)
まとめ:試験のために覚えておきたいこと
試験に向けては、関連付けられやすい単語をひとまとめにして覚えておくと良いでしょう
試験では5択問題のため、単語自体を完璧に覚える必要はありませんが、微妙に単語や数値が入れ替わっていたりずれていたりする問題が出ます
フィブリンとフィブリノーゲンなど、間違えやすい単語をひとまとめにして、違いについて覚えていくと有効です
記事の中でもそれらが紐づくように記載していますので、何度も見返してみてください
今回は血液と循環器系のしくみや働きについて学びました
単元だけだと何の役に立つのか分かりにくい分野ではありますが、他の範囲も合わせて繰り返し学んでいくことで定着していきます
少しでも記憶に残れば、完全に理解できていなくても前に進んで大丈夫です
過去問題で間違えやすい単元を洗い出して、見直しをしましょう
衛生管理者試験は試験範囲が広いですが、全体を俯瞰的に覚えていくことが有効です
重要なポイントに絞って先ずは試験範囲の勉強をざっくりでよいので1周して、記憶があるうちに2周目に取り組めるように勉強していきましょう
自分で勉強時間を作ることが難しい方はオンラインスクールなどを検討するのも良いでしょう
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